B-mountainのブログ

日々、感じたことや考えたことの覚えとして開設しました。

LCCピーチの事象を考察

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日本のLCC勝ち組と言われるピーチアビエーション、パイロットのリクルートが思うように進まず、5月〜10月に2,000便超の減便を発表。これは今年からの増便計画を、そっくりそのまま取り下げる規模らしい。

企業として策定した中長期の経営計画が根本からポッキリ折れてしまった感じで、社内ではそれなりの立場の人がそれなりの責任を取るレベルの話しです。

搭乗客の安全確保を旨とする交通機関としては、リクルートを継続しながら現有リソースで騙し騙し飛ばすなんてことを選択しなかったことは評価できる。

まぁそれが当たり前なんですが、理論的な裏付けも無く無理な計画を立て、現有リソースで無理やり計画通りの営業利益を要求する経営者が居り、彼の国のフェリーや鉄道を非難出来ない現実もある。

ピーチの減便報道で、民間航空業界ではパイロットが不足していることが判ったが、その後ピーチ機の重大インシデントが発生。

新石垣空港を出発したエアバス社のA320那覇空港に降りる直前に異常な低空飛行から警報が発せられ、高度確保のうえ着陸をリトライ。空港7km手前で高度75mまで降りていたと。ボーイング社の777に並びA320も安定した良い旅客機だと聞きます。

季節や気象条件にもよりますが、那覇空港では冬場は北から南へ、暖かくなると南から北へ向かって風が吹くことが多いようで、本土から沖縄に向かう飛行機は冬場は古宇利島から辺野古崎辺りにかけて本島を縦断して海中道路沖を南下、本島の南をぐるりと回って北上し瀬長島にかかる橋を横切って着陸、この間の景色が好きで可能な限り右側の窓際席を確保します。暖かくなると南下して真っ直ぐ那覇空港に降りて行くので面白くないんです。

普天間海兵隊基地が辺野古に移転すると、オスプレイや輸送機が離着陸するので民間機の飛行ルートは変わってしまうのかも知れません。

空港手前7kmというと、北なら牧港の沖でまだ陸地が遠くに見える頃、南なら本島南部に接近し(本土からなら本島南部を回り込んで)北上して陸地と並行に飛び始めた辺りで、まだまだ十分な高度で飛んでいる頃です。高度75mは、あと10数秒で着水する高度だと報道されているので、滑走路への誘導灯の先端辺りを越える頃(南からは瀬長島辺り)だと思います。

何度か飛行機に乗った経験があって陸地側に座った人は「ずいぶん低い!」と、ビビったんじゃないかと思います。元の石垣空港は滑走路が短く、滑走路の手前ギリギリに着地して直ぐに逆噴射全開でブレーキをかける必要があり、技量の高いベテランパイロットしか石垣便には搭乗出来なかったそうです。滑走路の長い新石垣空港が開港して、そこそこのパイロットも乗れるようになったということでしょうか。

あの急制動がもう体感出来ないのは残念です。

アルゼンチン人のこのパイロットと日本人のコパイロット、管制塔の指示を聞き間違い、同じく指示を復唱せず、この事象を会社側に報告せずで、同じ機の次のフライトで関西空港へ向かってしまい、ボイスレコーダーは上書きされて当時のやり取りは消えてしまったと。

今回の報道後「LCCは人件費も抑えており、適性や技量の高いパイロットが集まらないのでは?」との声も聞かれます。新幹線より飛行機が好きで、今のところ大きな事故を起こしていない、また部品を上空から落としたりしていない青組派ですが、LCCも便利になって来れば利用してみたいと思っていました。

民間航空業界では単にパイロットが不足しているのではなく、技量の高い適性のあるパイロットが不足しているとの認識が正しいのかも知れません。LCC、まだまだよく考えて乗らなきゃなと、改めて考えた次第です。

(写真は那覇空港の北の隅っこに駐機のピーチ機、泊港沖から)